北原白秋
詩人・童謡作家として知られる北原白秋は、相当な愛煙家で、一日で12箱も吸うほどでした。友人に「僕の詩はタバコの煙から生まれるんだ」と宣言していたほどで、また酒も好み、美食家でもあり、型にはまらない生き方をしていました。
19歳で単身上京し、隣家の人妻と不倫をして姦通罪に問われたり、「おかる勘平」という自作の詩が風俗紊乱に当たるとして発禁処分を受けたり、2度の離婚を経験するなど、自由奔放という言葉が似つかわしい作家といえましょう。
晩年は、大酒と美食がたたり、糖尿病と腎臓病の合併症にかかり、目がほとんど見えなくなってしまいます。
それでも、タバコだけはやめることなく、詩作に没頭していたということで、白秋の芸術にかける情熱には並々ならないものを感じます。
彼の愛用していた銘柄は「敷島」で、彼の小説中に登場していることからもうかがえます。
「汽車」の中では、主人公が汽車の中で「朝日」とともに「敷島」を並べて遊ぶシーンが登場し、「日本ライン」では、途中駅にぶらっと立ち寄って、そこで「敷島」を買うシーンが出てきます。
彼ほどタバコを愛した文豪も数少ないといえるでしょう。