中原中也・小林多喜二

一度も定職につかず、30年の短い生涯を詩作に捧げた中原中也は、芥川や太宰同様、ゴールデンバットを好んで吸っていました。

未完の彼の詩に「七銭でバットを買って」というものがあります。

七銭でバットを買って、
一銭でマッチを買って、
ウレシイネ、
僕は次の峠を越えるまでに、
バットは一と箱で足りると思った。

この「バット」は、明らかにゴールデンバットのことで、彼はほかにもタバコを題材にした詩を多く残しており、相当の愛煙家であったことがうかがえます。

また、プロレタリア文学で有名な小林多喜二も、ゴールデンバット関連としては、挙げておくべき人物の一人です。

没落農家の次男として生まれ、幼少期に小樽の伯父の家に移った彼は、貧困生活を送らざるをえなかった状況で、その環境も影響してかプロレタリア文学に傾倒し、当時の資本主義体制に疑問を呈しています。

彼の代表作「蟹工船」において、

「バット二つ、手拭一本を賞与としてくれるべし」

という描写を取り入れ、当時ゴールデンバットがいかに普及していたかということを今に伝えています。

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